あなたの手荒れ、ハンドクリームが原因かも!?~界面活性剤 編~
~界面活性剤 編~
多くの洗剤や化粧品には「界面活性剤」 が使われています。もちろん、ハンドクリームも例外ではありません。
界面活性剤と聞くと、肌に有害なイメージがあります。
界面活性剤が配合されているハンドクリームは、手荒れの原因になってしまうのでしょうか?
まず、界面活性剤とは何か? そして、その役割について解説していきます。
界面活性剤は、水と油のように、混ざり合わない液体同士を混ぜ合わせる作用を持っています。
身近な例で言うと、マヨネーズを思い浮かべてください。
酢と油は本来混ざり合いませんが、卵黄に含まれる「レシチン」という天然の界面活性剤が働き、分離することなくマヨネーズになります
その他にも、ホイップクリーム、バーター、コーヒークリーム、アイスクリームなどに使われています。
こういった水と油を混ぜる作用を「乳化」と言います。
化粧品でも、乳液、クリーム等の乳化に使われています。
化粧品における界面活性剤の役割は?
界面活性剤の水と油を混ぜる作用を利用して、化粧品では主に、「洗浄」と「乳化」の役割をしています。
1)洗浄
界面活性剤には、油汚れを包み込み、水になじませて洗い流すという『洗浄』の役割があります。この洗浄力は、クレンジング、洗顔フォーム、シャンプー、洗剤等で用いられています。
食器洗いの際、タッパーについた油汚れはなかなか落ちません。
そこで、界面活性剤入りの洗剤によって、油汚れを水になじませ、水と一緒に流すことができます。水で洗い流せない汚れを包みこみ、再び汚れがつかないようにしてくれます。
ファンデーションなどのメイクを落とす時も同じです。
2)乳化
水と油がうまく混ざり合った状態を保つ『乳化』作用で、他の化粧品の成分をなじませることができます。クリームや乳液などにも含まれています。
界面活性剤は、洗顔料やシャンプー、化粧水、乳液、ファンデーション、マスカラ、口紅など、あらゆる化粧品に配合されており、化粧品にとって重要な原料のひとつです。
天然系界面活性剤は安全?石油系は危険?
石油系より、天然の界面活性剤のほうが、安全だというイメージを持たれる方が多いです。
石油か天然かという分類だけで、危険、安全を判断することはできません。
例えば、天然の界面活性剤であるサポニン類の中には、赤血球を破壊する溶血作用を持つものもあります。
界面活性剤は天然だから安全、合成・人工だから危険というものではありません。
界面活性剤は必要な存在
界面活性剤というと「肌に悪い」というイメージを持っている方も多いかと思いますが、界面活性剤は化粧品などに不可欠な成分です。
そして、化粧品の効果を出すのにも、界面活性剤が一役買っているのです。
化粧品における界面活性剤の重要な役割は、「化粧品の成分を肌に浸透させることができる」ことと、「肌を清潔に保つ」ことです。
1)浸透効果
例えば、こぼしたジュースを手で触れても、ジュースが肌の内側に入ってくる事はありません。これは、肌の表面は皮脂という油で覆われているからです。
ジュースが肌に浸透しないのに、なぜ化粧品の成分は肌に浸透するのか?
それは、本来、水をはじいていた油分が、界面活性剤と中和し、水に馴染みやすくなります。
これによって、美容成分が肌の奥に浸透することができるのです。
化粧品でも、美容成分の肌内部への浸透の際、浸透剤として界面活性剤が使われています。
そうすることで、浸透だけでなく、化粧品が肌に馴染みやすくなり、使った使用感もよくなります。
2)肌を清潔に保つ
界面活性剤の洗浄作用で、肌の汚れが取れます。皮脂汚れが取れる事で、さらに化粧品の美容成分が肌の角質層まで浸透しやすくなります。
お風呂上りに化粧水をつけると浸透している気がしませんか?
ボディーソープに含まれる界面活性剤で肌表面の皮脂汚れが取れた状態なので、化粧水の成分が浸透しやすくなっているのです。
このように、悪者扱いをされていた「界面活性剤」は、化粧品にとってはなくてはならない存在なのです。
では、なぜ「界面活性剤が悪い」というイメージになったのか?
それは、界面活性剤の洗浄力です。
界面活性剤のリスク
食器洗いを素手ですると、手肌がツッぱったような感じがしますよね?
これは、油汚れだけでなく、必要な皮脂までも取り去ってしまったからです。
前述のように、界面活性剤には、「成分を浸透させる」効果がありますが、言い換えると、「肌のバリアを壊している」のです。
界面活性剤の高い洗浄力で、肌のバリアが壊されます。
化粧品の浸透剤として使われているときは、界面活性剤によって肌の機能が一部変更され(肌バリアが壊され)て、肌内部に美容成分を届けているワケです。
界面活性剤によって肌そのものの保湿機能が壊され、バリア機能が壊され、肌内部は乾燥している状態になります。つまり、表面はしっとりしていても、肌内部はスカスカになります。
界面活性剤は化粧品にはなくてはならない成分。でも肌のバリアを壊す。
では、どうしたらいいのか?
界面活性剤との上手な付き合い方
1)肌に優しい商品を選ぶ
界面活性剤は何千個も種類があり、それぞれ働きが異なります。
洗剤のように高い洗浄力を要する物には、強力な界面活性剤が使われています。
化粧品には、肌内部に影響を与えづらい界面活性剤が使われています。
そこで、シャンプー、ディーソープ、洗剤などの、洗浄力の強いものは、敏感肌向けのものなど、肌に優しいものを選ぶようにしましょう。
また、洗剤は一番洗浄力が強いので、手袋をつけて触れるようにしましょう。
2)化粧品は使った後の経過を見る
化粧品に含まれる界面活性剤で、肌のバリア機能が壊れた状態になり、美容成分が肌内部に入ってきます。
そこで、とにかく界面活性剤がすべて悪いと決めつけて避けるのではなく、以下の事を気に留めるようにしてみましょう。
美容成分が浸透した時
・異物の浸入として体の免疫が働き、炎症がおきないか?
・美容成分は肌内部にどれくらい留まる?すぐ排出されないか?
・美容成分は酸化しないか?
使った直後は、肌馴染みがよくて、効いているような気がするかもしれません。
厄介なのが、効果が出やすいものは、肌への刺激が強い事が多いです。最初の効果だけを見て、使い続けるのではなく、経過を見ていきましょう。
3) ハンドソープなどの洗浄系は、使用時間を短くする
洗浄剤を長い時間使うと、肌の負担になります。ハンドソープは短い時間でサッとなじませて洗い流しましょう。
顔のクレンジングの時は、しっかりメイクとなじませたら素早く水かぬるま湯で洗い流しましょう。洗顔料を使う際にもしっかり泡立たせて濃密な泡を転がすようにして汚れを落としていきます。
手洗いの際も、クレンジングの際も、ゴシゴシと肌をこすらないようにしましょう。
界面活性剤のせいで肌が乾燥することよりも、洗う際に手でゴシゴシこすって肌を刺激しすぎることが、肌トラブルを引き起こす原因となることがあります。
4)保湿をする
界面活性剤によって起こりやすい肌トラブルは「乾燥」です。
界面活性剤入りの洗浄剤を使うと、肌が乾燥します。手洗い後は、必ず保湿をするようにしましょう。
手洗い後は放置せずに、すぐにスキンケアを行うことで肌の水分蒸発が少なくてすみます。
まとめ
さまざまな化粧品に含まれる界面活性剤には、化粧品の成分同士をなじませたり、油性の汚れを落としたりと、とても有効な役割があります。
界面活性剤自体が、必ずしも肌に悪いわけではないということや、種類によって刺激の強さなどに違いがあることを覚えておきましょう。
できるだけ肌に負担をかけないよう界面活性剤と上手く付き合っていくことが大切です。
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